はじまり・・・
僕が生まれ育った頃のこの国は、
おもちゃはブリキから塩化ビニールへ・・・
窓は、木からアルミに・・・
家具は、無垢からプリントベニヤに変わって往ったんだ。
どこを触っても、偽の木目に、無駄に平らで無機質な表面。
塗装はラッカーとウレタン。やがては剥がれた・・・。
その頃の大人達は、それを「キレイ」と呼んだ。
石油工業製品を、「新しい」=「きれい」なのだと。
そして、「天然」ものを「汚い!」と呼ばわり、捨て去って、本当の美しさが判らなくなってしまった。
僕が木の割れや節を使ってると必ず笑うんだ。
そして仕上げてからのエイジング加工を見ると、初めは驚き、やがて・・・そう、呆れるんだ。
あの頃の大人達には、解らないだろうけど。
僕らはあれを「新しい」とは思えないよ。
そして、「美しい」とも・・・
でも汚せばイイってもんじゃゃないんだけど・・・。
たぶん、そう、それは僕が見ても汚いよ。やっぱり・・・。
DearOld